Jonathan B. Losos著「The Cat’s Meow: How Cats Evolved from the Savanna to Your Sofa」
ネコが大好きな進化生物学者がネコのさまざまな研究について紹介する本。英語の「cat」はトラやライオンまで含むネコ科の動物全部を指すけれど、本書が対象としているのはヤマネコから派生し家畜化したイエネコ (felis silvestris catus、もしくはfelis catus)について。ただしイエネコの進化の過程やさまざまな遺伝子の影響についての記述ではヤマネコやその他のネコ科の動物の話もいろいろ出てくる。
著者はネコはイヌに比べて研究が進んでいないと指摘するけど、それでもたくさんの研究が紹介されていてシンプルにめっちゃおもしろい。世界中にいるさまざまなネコがどのような経緯で進化してきたのか、どのように広まっていったのか、体つきや色などがどのように決定されているのか、など、まだ解明されていないことも多いものの、科学者たちがどのような仮設を立てどのようにしてそれらを検証していったのか、みたいな話が前半には書かれている。後半ではペットとして新たな品種が作られるようになった歴史やその弊害から、市場にあるネコ遺伝子検査サービスの信頼性、動物研究の倫理、家の外に出る飼い猫や野良猫への危険や環境への影響、部屋の中でネコがストレスを貯めないためにはどうすればいいのかといった話まで。てかスコティッシュフォールドあんなにかわいいのにそんな健康上の問題があったなんて悲しすぎる…
ネコ好きにお勧めなのはもちろん、チワワのキティちゃんと暮らしているわたしも楽しめた。