Jeremy Williams著「Climate Change Is Racist: Race, Privilege and the Struggle for Climate Justice」
「気候変動はレイシストだ」という挑発的なタイトルの本。もちろん気候変動は人間ではないので人種的な偏見という意味でのレイシストではないけれど、白人のイギリス人環境活動家でライターの著者は、人類の活動の結果起きている気候変動が「人類共通の」課題であるという認識を批判し、それが主に白人が人口の多数を占める社会によって起こされ、主に非白人たちが住んでいる地域により大きな被害を起こしている、「人種主義的な暴力」の問題であると訴える。また著者は、グレタ・トゥーンベリ氏や彼女に触発された多くの若い活動家たちが訴える世代間正義の問題を認めつつ、現代の世代と将来の世代の利害対立として捉えることは、現在の世代内においてすでに先進国が生み出した気候変動によりアフリカや小さな島国を中心に過酷な被害が生じていることを見失わせると指摘。先進国の大人たちは世代間の不均衡とともに現世代における不均衡にも向き合い責任を取るべきだと主張する。 environmental justice(環境における社会的公正)や climate justice(気候における社会的公正)の入門的な短めな本。