Chip Heath & Karla Starr著「Making Numbers Count: The Art and Science of Communicating Numbers」

Making Numbers Count

Chip Heath & Karla Starr著「Making Numbers Count: The Art and Science of Communicating Numbers

数字を使ったコミュニケーションを改善するための本。人類は日常的によく見かける範囲の数字や物事については感覚的に理解できるけど、極端に大きな数字や小さな数字、複雑な分数、細かすぎる数字、漠然とした数字など、ニュースや統計でみかけるさまざまな数字を感覚的に理解することは苦手だ。そういうときに、分かりにくい数字を分かりやすいかたちに翻訳することで、人間が理解しやすくするさまざまな方法をこの本は教えてくれる。たとえばある国の広さを説明するのに、約25万km²と言われてもそれがどのくらいか分かりにくいけど、だいたい北海道3個分と言われたらその大きさが想像しやすい。いっぽう形式的には同じでも東京都115個分、ではかえって分かりにくくなってしまう。マクドナルドの「クォーターパウンダー」(1/4ポンドの肉が挟まったハンバーガー)に対抗して別のハンバーガー店が「うちは同じ値段で1/3ポンドです」と宣伝したところ、なんでお前の店は同じ値段なのに肉が少ないんだという抗議が殺到したという笑い話も。「マクドナルドより3割大きい」と宣伝した方がよかった。

行動経済学者ダン・アリエリーは人間の行動は「予想どおりに不合理」だというそれそのもののタイトルの本を書いたけれど、数字の理解に関しても人間はただ単に「数字に弱い」のではなく、「予想通りに数字に弱い」。そのパターンを理解すれば、さまざまな数字をより分かりやすく(時には数字すら使わずに)伝えることができる(と同時に、それを悪用してわざと分かりにくい形で伝えて惑わすこともできる)。短いけどおもしろくてすぐに使えるさまざまなスキルを教えてくれる本。