Manuel Betancourt著「The Male Gazed: On Hunks, Heartthrobs, and What Pop Culture Taught Me About (Desiring) Men」

The Male Gazed

Manuel Betancourt著「The Male Gazed: On Hunks, Heartthrobs, and What Pop Culture Taught Me About (Desiring) Men

コロンビア出身でカナダの大学に通ったゲイ男性の著者が、子どものころから現在に至るまでに触れてきたポップ・カルチャーを通してどのように男性性を学び、欲望してきたか振り返る本。

タイトルにもなっているように、本書はゲイ男性である著者の「視線」を通してメディアのなかの男性たちがどのように見えたのか、そういう目線で男性を欲望しないわたしにも(というか女性やその他の人も特にそういう目線では見ないけど)分かるように描かれていて、とてもおもしろい。子どものころ見たディズニーの映画から、日本アニメにハマって「聖闘士星矢」のアンドロメダ瞬に入れ込んで魚座のアフロディーテとのフェム系男子対決を熱く語ったり、プエルトリコ出身でメキシコのテレノベラで活躍したリッキー・マーティンがアメリカで歌手として大ヒットする前と後での(そしてその後のカミングアウト後の)表現の違いなど、批評のなかに欲望が直球で盛り込みつつ、さらにリー・エデルマンとかホセ・エステバン・ムニョスといったクィア理論家の議論も援用。すごい。