Justin Brooks著「You Might Go to Prison, Even Though You’re Innocent」

You Might Go to Prison, Even Though You're Innocent

Justin Brooks著「You Might Go to Prison, Even Though You’re Innocent

タイトルの通り、無実の人がどうして刑務所に送られるのか、無実の罪で有罪とされた人たちを解放するための活動をしてきた弁護士が説明する本。というか「あなたも無実の罪で刑務所に送られるかも!」と脅す本。

本書は無実の人が有罪とされてしまう理由を十個挙げ、それぞれ章立てて著者が実際に関わったケースを紹介しつつ解説する。第一章は弁護士がいい加減なアドバイスをしたせいで無実にも関わらず有罪を受け入れさせられて死刑判決を受けた衝撃のケースだけれど、そこから刑事司法制度のさまざまなタイミングで間違った有罪認定が起きてしまうカラクリが説明されていく。それらは犯行を決めつけた警察による強引な取り調べ、不確かな目撃者証言、科学的根拠のない「科学的捜査」とされる手法、第三者の司法取引で売られる危険、そしてもちろん人種差別など。

DNA検査が発達したおかげで数千人もの有罪とされた人たちの無実が証明されてきたが、かれらは無実の罪に問われた人のなかではラッキーな部類。多くの事件では検査することのできるDNAの証拠が採取されていないし、採取されても多くは破棄されているし、運良く残っていても弁護士が味方についてくれて再調査を求めてくれないと再検査されることもない。著者のもとには多数の囚人から「自分は無実だ、助けてくれ」という手紙が届くが、かりに無実だとしてもそれを証明できそうなケースはごくまれにしかない。大部分は無実かどうか以前の問題として、仮に無実であったとしてもそれを証明する方法がないので依頼を断るしかない。

書かれている内容はわたしにとってはこれまでに見聞きしたり読んできた話ばかりなのだけど、著者が実際に関わってきた実例を多数紹介していることが現実感を増している。自分は犯罪を犯したりしないからある日突然犯罪者に仕立て上げられて刑務所に入れられることなんてないと思っている人こそ読んでほしい。