Elizabeth Alexander著「The Trayvon Generation: Yesterday, Today, Tomorrow」

The Trayvon Generation

Elizabeth Alexander著「The Trayvon Generation: Yesterday, Today, Tomorrow

オバマ大統領の最初の就任式で詩を朗読した著名な黒人女性詩人・文筆家による詩とエッセイが混ざり合った本。もともと雑誌に掲載され好評を博したエッセイを広げたものだけれど、それでもやはり本としては短め。タイトルの「トレイヴォン世代」は2012年にフロリダで近所の店にキャンディを買いに行った帰りに自警団の男性に殺害された17歳の黒人男性トレイヴォン・マーティンの世代というだけでなく、かれや他の多くの黒人たちが警察や自警団によって殺されるのをソーシャルメディアで繰り返し目撃し続けてきた現代の若い世代のことを指す。著者自身の二人の息子たちも含まれる「トレイヴォン世代」の若い黒人たちへの愛情と、母親や年長者としてかれらを白人至上主義の暴力から守りたいのに守れない辛さ、黒人の抵抗や文化的な歴史と現代の繋がり、そして若い世代に向けた希望を美しい文体で綴った本。