Aidan Moher著「Fight, Magic, Items: The History of Final Fantasy, Dragon Quest, and the Rise of Japanese RPGs in the West」
ファイナルファンタジーやドラゴンクエストなど日本製のロールプレイングゲームやそれらにインスパイアされた類似ゲームのジャンル、JRPGが西洋(というけどほぼ北米)でどう広まったかについて書かれた本。
JRPGって結局なんなんだよ、というのはゲーム業界でも延々と議論されているらしく、ニコニコ大百科「JRPG」にリンクを張っておくけど、北米におけるJRPGの普及についてやっぱり気になるのは、どうしてファイナルファンタジーは成功してドラゴンクエストはほとんど広まっていないのかという点(キャラクターをデザインした鳥山明さんのドランゴンボールは人気なのに)。まあ個人的には旧エニックスが駄目だったせい、というだけの気もするのだけど、まあいろいろ話はある。著者はどういうわけかアメリカでは「ファイナルファンタジー3」として売られたFF6からJRPGにハマりはじめ、いまでも史上最高のゲームと信じている「クロノ・トリガー」に没頭、FF7ではエアリスを救おうと必死になった。
「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に代表されるテーブルトップRPGからコンピュータゲームとなった「ウルティマ」「ウィザードリィ」などを経て日本で作られた「ドラゴンクエスト」シリーズなどJRPGの発展や新ハードや新開発環境への移行による情勢の変化、一部シリーズの停滞やFF14のオリジナル版に見られる大失敗など、過去30年以上に及ぶゲームの歴史がきれいにまとめられてそれなりに面白いのだけれど、わたしはドラクエ派なのでやっぱり北米でドラクエが弱いせいで扱いが軽いのが悲しい。ドラゴンクエストシリーズの音楽を担当していたすぎやまこういちさんが日本の戦争犯罪を否認したり反LGBT的な発言をしていたみたいなことはきちんと取り上げられているのだけど。