Rachel Vogelstein & Meighan Stone著「Awakening: # MeToo and the Global Fight for Women’s Rights」

Awakening

Rachel Vogelstein & Meighan Stone著「Awakening: # MeToo and the Global Fight for Women’s Rights

先進国の白人フェミニスト二人がMeTooという先進国のトレンドで国際的なフェミニズム語ってんのかよってシニカルに見てたけど、読んでみたらかなり良い。偏見ごめん。MeTooが国際的に広まり、それまであった現地の女性たちの運動に結びついてそれらをさらに後押しした様子を、章ごとにブラジル・中国・エジプト&チュニジア・ナイジェリア・パキスタン・スウェーデンを取り上げて個別に伝えている。このチョイスが絶妙で、政治体制や宗教や文化が異なるさまざまな国で、それぞれどのような運動が行われているのか、これまであまり知らなかったことを知ることができた。

それぞれの国でMeTooのまえにもあとにも独自のハッシュタグがあって、MeTooのおかげで運動が起きたわけではないけど、それらをMeTooという運動が国際的に繋げ、政府が政治運動を厳しく取り締まったり弾圧している国から、逆にスウェーデンのように既にフェミニズムの目的は達成されたとして問題の存在が無視されている国まで、それぞれの国で戦っている人たちがお互いを勇気づけることができたのはすごい。もともと黒人女性がはじめたのに、いつのまにか有名人とかエリート白人女性ばかりが目立つようになったアメリカのMeTooをちょっとシニカルに見てたけど、MeToo運動って捨てたもんじゃないと見直した。

もうすぐ発売されるペス山ポピーさんの「女(じぶん)の体をゆるすまで」の第5話で、弁護士のいしけりさんが登場して、ペス山さんが経験したセクハラについて、「当時訴えたら勝てなかったと思うけど、今だったら勝てる」と答えていたのがものすごく印象に残っている。

awakening_pesuyama

2013年なら「社会通念上」許されていた行為が、2020年にはそうではなくなった。単に過去7年のうちにその変化が起きたというだけでなくて、長い日本の歴史において史上はじめて少なくとも建前のレベルでセクハラを容認しない社会通念が生まれたと思うと、涙が出てくる。そしてその変化は、スウェーデンや日本やアメリカのような先進国だけでなく、言論の自由が守られていない国も含めて、いま世界中で起きている。MeTooすごい。国内の白人フェミニズムには失望され続けてシニカルになっちゃってたけど、国際的な女性運動に目を向けて連帯しないと。